オモチャ

  • 超短編 492文字
  • 恋愛

  • 著者: 3: 寄り道
  • ただただ温かさを求めて、抱かれただけ。
    いや、抱いただけ。
    目の前の男はスマホを操作し

    「今度いつ会おうか?」

    同じ男の温もりなんて、ただただヌルいだけ。
    同じ男に抱かれるくらいなら、
    独りでオナニーしていた方が幾分マシで、
    その心の埋め合わせが部屋に散らばった、
    “オモチャ” の数だった。

    “オモチャ” で温もりは感じられないが、
    淋しさは埋まるような気がした。
    それが仮初であろうとも、
    私には仮初に縋りたい日もあった。

    感情のない体温が冷め切った頃、
    男とオモチャを天秤にかける。

    オモチャを男と思ったことないが、
    男は私にとってオモチャだった。
    電池が切れるまで使い倒し、切れたら

    「はい、さようなら」

    電池を買い換えるより、
    新しいオモチャを買った方が心を埋めれた。
    淋しさを紛らわせた。

    色々な男を抱いて抱かれて、
    様々なオモチャで淋しさに蓋をしてきたけど、
    全部似たり寄ったりで、
    たまに冷たくなった体温を愛してしまう。

    昔は、
    陽だまりのように温めてくれる男を求めていた。
    数年経った今、
    そんな男がいないことを悟った。

    だけど、
    心の奥底では求めている私がいるのも確かだった。

    そして今日も冷め切った私は、
    “オモチャ” を求めて弄ぶ。

    【投稿者: 3: 寄り道】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      なかまくら

      お久しぶりです。
      自分がおもちゃにできるものをそれぞれ探しているってなんだか気持ち悪い現実という感じでリアリティがあります。