意識の研究

  • 超短編 508文字
  • 祭り

  • 著者: ほわみ
  •  記憶というものはどうもいい加減のものらしい。
    あの時、ああだったでしょと言われると、そんなことは覚えていないのに、
    そうだったかと思ってしまう。
     
     卒業式のとき、ばったりおふくろ連れの俺とあったでしょ、といわれても愛には記憶がないのだ。
    でも卒業式の日にたしかに啓に会って、何人かでどこかへ行き、愛は啓に今までずっと好きであったことを、
    告白したんだ。啓はそんなこと思ってもなかったと言って、取り合ってはくれなかった。
    衝撃的だったことだけは覚えている。

     でも意識の中では、啓を好きであることは好きなのだけれど、現実性を帯びてなかった。
    なんというのだろう、想像できないのだ。
    たとえ現実になったとしても、世間知らずで、個性を持たない愛が
    あの頃の希望や野心いっぱいの啓と暮らしても、神経を患うだけだったろうと思う。

     好きだ好きだと思っていても、一年くらいすれば、人はバカバカしくなっていく。もう違う方向に行こうと
    思うもの。愛もお風呂に入って髪を洗ったら、気分が変わった。

     その後、愛も普通の結婚ができて、その結婚も山あり谷ありで、笑ったり泣いたりで生きてきた。
    そんな中で感じてきたことを、ときには短編小説にでも書いてみようかと思うのだった。

    【投稿者: ほわみ】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      なかまくら

      好きという気持ちは一見、特別に思うものなのかなと思います。でも、。髪を洗ったら変わってしまったり、1年も経てばそんなこともあったなあ、と、なってしまったりと、確かにそんなものだなあと思い直して、妙に現実感がありました。
      時間がぐんと圧縮されて見えるお話でした。


    2. 2.

      けにお21

      紅白を見ながら、恋愛考える。
      いいですねー。

      相手を間違うと、えらい目に遭いますから、ソレで良かったんですよー

      また、好きだ好きだ、も一年くらいですね。確かにです。

      髪を洗って、執着心も洗い流したっちゅう訳ですなー

      さて、予想。

      なんとなく、女性かな?

      主人公が女性だから、作者も女性?

      ちと、安直かー。


    3. 3.

      茶屋

      まっすぐな心を書ききれるのはほわみさんです。
      タイトルを含めキーワードの使い方が流石でした。