君と僕は幼馴染で、家が隣同士という、漫画でいうところのタッチみたいな感じだった。
だけど僕は一人っ子だし、漫画のような仲のいい関係ではなく、ずっと顔を合わせるたびに悪口を言い合っていた。
当たり前のように学校でも一緒で、毎日毎日「バーカ」「チービ」「ブース」のキャッチボール。
そして毎日していたキャッチボールが、僕のせいで終わってしまった。
それは中学最後の2月14日。
親指に絆創膏を貼った君から「今までごめんね」とチョコをもらった。
でも素直なれない、まだ子どもだった僕は「ブスから貰ったって、嬉しくねえよ」といってしまい、初めて君を泣かせてしまう。
変な意地を張ってしまいすぐには謝れず、次の日から顔を合わせてもキャッチボールがない。
心にもやもやを抱えたまま、1カ月が経った。
悪口をいい合う関係は正直いって嫌だけど、君と普通に話せなくなるのはそれ以上に嫌で、君が好きなアニメのキャラクターのぬいぐるみを渡して「この前はごめん」とやっと謝った。
「慣れないことするもんじゃないよね。泣いてしまったけど、あのあと思ったんだ。私キモかったなって」
無理やり笑顔を作る君。
「そんなことないよ。美味しかったし」
「食べたんだ」
「うん。折角、貰ったんだし」
「そっか」
2人の間に沈黙が流れる。
2月で外にいたため、体が冷える。
そのせいで君はくしゃみをしたため、僕は羽織っていたコートを肩にかけてあげた。
「優しいとこあるんだね」
僕はもう一度「ごめん」と謝った。
君は小さく頷いた。
手が冷たいのか、指先を曲げ拳を作る君の手を握った。
「ありがとう」
この時、僕は誓った。
もう君を泣かせやしないと。
そして15年後。
僕はその誓いを破ってしまった。
左手の薬指に輝いた指輪を見て、君は涙を流した。
そして僕は、新たな誓いを立てた。
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