チョコから生まれた永遠の誓い

  • 超短編 741文字
  • 恋愛

  • 著者: 3: 寄り道
  •  君と僕は幼馴染で、家が隣同士という、漫画でいうところのタッチみたいな感じだった。

     だけど僕は一人っ子だし、漫画のような仲のいい関係ではなく、ずっと顔を合わせるたびに悪口を言い合っていた。

     当たり前のように学校でも一緒で、毎日毎日「バーカ」「チービ」「ブース」のキャッチボール。

     そして毎日していたキャッチボールが、僕のせいで終わってしまった。

     それは中学最後の2月14日。
     親指に絆創膏を貼った君から「今までごめんね」とチョコをもらった。
     でも素直なれない、まだ子どもだった僕は「ブスから貰ったって、嬉しくねえよ」といってしまい、初めて君を泣かせてしまう。

     変な意地を張ってしまいすぐには謝れず、次の日から顔を合わせてもキャッチボールがない。

     心にもやもやを抱えたまま、1カ月が経った。
     悪口をいい合う関係は正直いって嫌だけど、君と普通に話せなくなるのはそれ以上に嫌で、君が好きなアニメのキャラクターのぬいぐるみを渡して「この前はごめん」とやっと謝った。

    「慣れないことするもんじゃないよね。泣いてしまったけど、あのあと思ったんだ。私キモかったなって」

     無理やり笑顔を作る君。

    「そんなことないよ。美味しかったし」

    「食べたんだ」

    「うん。折角、貰ったんだし」

    「そっか」

     2人の間に沈黙が流れる。

     2月で外にいたため、体が冷える。
     そのせいで君はくしゃみをしたため、僕は羽織っていたコートを肩にかけてあげた。

    「優しいとこあるんだね」

     僕はもう一度「ごめん」と謝った。

     君は小さく頷いた。
     手が冷たいのか、指先を曲げ拳を作る君の手を握った。

    「ありがとう」

     この時、僕は誓った。
     もう君を泣かせやしないと。

     そして15年後。
     僕はその誓いを破ってしまった。

     左手の薬指に輝いた指輪を見て、君は涙を流した。

     そして僕は、新たな誓いを立てた。

    【投稿者: 3: 寄り道】

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