10月はカットします

  • 超短編 561文字
  • 同タイトル

  • 著者: 3: 茶屋
  • 10月は死者が街を練り歩く。多分、そのはずだ。

    手をみれば、指輪と骨。私は死者だった。この夜は悪魔の夜。

    私は誰? 誰か私を見つけて、私を名付けて。

    鏡は見たくない、見ればもう思い出せない。

    二つ進んだ、袋小路、優しい月。誰かがそこにいた気がする。

    夢を見ている。今夜は黄金の夜。死者の夜。

    誰か私を見つけて、そうしないと、もう思い出せない。

    横をみれば、ネズミと猫、たくさんの肉と骨が動いている。

    目の前に少女が二人がいる。手を伸ばすと逃げていく。

    スマフォで私を撮っていた。懐かしい、きっと私もそうしていた。

    顔布をした人が道の両脇でこちらを見ている。顔は見えない、あちらからは見えるのに、

    あぁそうか、見えたら私達が連れて行くから、だから顔を隠している。

    10月の夜に神はいない、悪魔の夜。

    この日は存在しない、カレンダーに描かれない。無いはずの日。

    私達がいることを許される夜。

    私は誰?

    誰かが私を見ていた、男性だ。顔は布で見えない、でも多分泣いていた。

    あぁ、貴方は私を知っているのね。

    私は何だった?

    答えはない、知ってしまうと行けないから。

    悪魔がこっちを見ている。もういいわ、ありがとう。

    今日は無かったことになるのでしょう?

    でも私のことは誰かが覚えていることを知れたから。

    それでいいの、いい気持ちよ。

    夜が終わる前に、いるべき場所へ。

    一人で行くの。

    【投稿者: 3: 茶屋】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      ヒヒヒ

      ハロウィンのニュースを見て「あの中に本物が混じっていても気付かないだろうな」と考えたのを思い出しました。
      神無き月に悪魔が練り歩く。霊界もグローバルになってるんだなあ、とか思いました。


    2. 2.

      茶屋

      >ヒヒヒさん
      感想ありがとうございます。神無月というキーワードが浮かんだけど、それを隠していたのです。
      流石に、バレますよね。神様も黙認する、許されざる死者の夜。
      そんな日があってもいいのかあなぁと思います。


    3. 3.

      けにお21

      神無き月、でこの内容でしたか。
      なるほど、おもしろい。
      さすが、茶屋さん!

      そして、それを見抜いたヒヒヒさん。
      さすが、ヒヒヒさん、と思いました。


    4. 4.

      なかまくら

      後から、カットするのは神様・・・ということですね。
      見たほうも忘れてしまうんだろうな、と思うと切ないような気もします。
      神様恐るべし。