タワマンの高層階に住むその男は、昨夜抱いた女を尻目に、珈琲を淹れる。
珈琲を淹れるときの物音か、それとも珈琲の芳しい匂いでなのか、女が目を覚まし「おはよう」と呟く。
男は、頭を掻き毟りながら、ドリップポットを置き、女が昨日来ていた服を手にし、窓から放り投げた。
そんな状況を呆然と見つめる女を横目に、衣装部屋からロングコートを手にすると、横になっていた女を力づくで立たせ、それを無理やり着させ、髪の毛を鷲掴みにし、目を見つめながら「不味かった」とぼやいた。
男のその言葉に涙を流した女は、鷲掴みされてある手を強引に振り解き、走って玄関を飛び出した。
男は、不味かった女の口直しに、珈琲を一口飲み「美味しい」と笑みを浮かべた。
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