夜は下弦の月だし、ずいぶん時間も経ったし、鮮やかな暗闇のなかで僕たちはいるし、だけど気配は切なくて、どうやら愛し合っていないことが分かった。もちろん別れの気配には気付いていたし、それでいて行為はしてたし、我ながら軽々しい。
おやすみなさい
「さよなら」船は行った。船の名前は夾竹桃。これから無限の旅に出るわけだ。それにしては軽々しい挨拶しか政府には無かった。政府としてももはや期待していないことがわかった。だけど気配は切なくて、ずいぶんの宇宙を夾竹桃は行くのだ。月を越し、木星へと向かう。さよなら、夾竹桃。
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