さよなら夾竹桃

  • 超短編 251文字
  • 日常

  • 著者: ちくたく
  •  夜は下弦の月だし、ずいぶん時間も経ったし、鮮やかな暗闇のなかで僕たちはいるし、だけど気配は切なくて、どうやら愛し合っていないことが分かった。もちろん別れの気配には気付いていたし、それでいて行為はしてたし、我ながら軽々しい。
     
     おやすみなさい
     
     「さよなら」船は行った。船の名前は夾竹桃。これから無限の旅に出るわけだ。それにしては軽々しい挨拶しか政府には無かった。政府としてももはや期待していないことがわかった。だけど気配は切なくて、ずいぶんの宇宙を夾竹桃は行くのだ。月を越し、木星へと向かう。さよなら、夾竹桃。

    【投稿者: ちくたく】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      howame

      夾竹桃は私の好きな花でもあります。この作品は恋の破局を描いているのかとふと思いました。
      ちくたくさんのきれいな作品ですね。


    2. 2.

      なかまくら

      自然とのつながりを感じるとき、私のつながりのなさを感じるときです。
      みなさんの造詣の深さを感じます。私は、船に乗らなかったのでしょうね。木星は遠すぎたのでしょうか・・・。