そうやってあなたは街を雨にする。かなしい歌を歌い継ぐ。あなたは夢の主人公だ。あたしは夢を見ている。あなたはあたしの夢の中でいつも幸福を壊す。あなたのことは嫌いだけど、あなたについてあたしは知らない。
困ったので夢の中で判事に聞いてみた。あなたについて聞いてみた。結果、連邦会議所で判明したところによるとグラース家の三男でテロリストということだそうだ。それは困ったことだとあたしは思う。何しろグラース家といえばどしがたい放蕩家族なので。うちの一族も昔から近所なので関わりはあり、あたしの祖母の祖母は因縁により納屋を焼いた。
さて納屋を焼かれたグラース家のひとびとはこまったみたいだ。だからあたしは彼を地下室に匿う。常に夜のようなその世界はグラース家の(そのグラースという名前の!)きらきらめいた場所とは違って、彼は非常にちぢこまって見えた。
残虐性があたしの中に発生する。地下室は納屋と異なる温度で焼かれるのかも知れない。焼いてやるのはきっとあたしだ。
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