闇の中の少女

  • 超短編 668文字
  • シリーズ

  • 著者:退会済み
  •  ここは、光の世界・「シャイナス」。
     特大の光が、土地を照らす。
     だがしかし、その中には僅かな闇が残っている。
     闇の中には、1人の少女がいる。

     クロユキ。

     それが少女の名前だ。


     闇の人間は、光の仲間にはなれない。
     そのためクロユキは、生まれた頃からずっと孤独だった。
     光の人間は、クロユキから避けるようになっていってしまった。
     その光の中に、クロユキに似た少女・シラユキがいた。
     彼女はクロユキの幼馴染だが、犬猿の仲の関係だ。
     シラユキはクロユキとは対称的に、友達か数多くいた。
     ここは光が纏う場所。
     この世界に少しでも闇があると、その闇は敵となる。
     だからクロユキは、光の世界の人間達の敵となってしまっていた。

     クロユキは、そんな世界が嫌いだった。

     時が経つと、シラユキはシャイナスの姫君となった。

     やがて光は強くなり、クロユキは…。


     意識が途絶え、眠りについてしまった─────。



     目が覚めた。
     辺りを見回すと、墓場に着いていた。
     もしかするとクロユキは、何者かに墓場に棄てられたのだろう。

     クロユキは考えた。
     今の光の特権を持っているのは、シラユキだ。
     姫君になったから、自分の思い通りにできる。
     シラユキを始末すれば、特権を奪う事ができる。
     姫君の座を奪う事もできる。
     何とも残酷なやり方だが、殺してでも特権を奪いたい者は、クロユキの他にもいたであろう。
     だがしかしクロユキは、シラユキに勝つ力はまだ持っていない。
     力が弱く脆い、何の個性もない「持たざる者」だ。
     こうして、クロユキの孤独の戦いが幕を開ける。

     この世界を、シャイナスを。


     闇に染めるために─────。

    ~第零章 闇の中の少女 END~

    【投稿者: 2: アズール021】

    一覧に戻る

    コメント一覧