新しい海に沈める

  • 超短編 413文字
  • 日常

  • 著者: ちくたく
  •  漁に出かけてったおとーさんの物語を読み漁っていると茶色になった古新聞が向こうに山積みで、それには瀬戸内海でモノリスが発見されたという悲劇が掲載されていた。それからが陰鬱で騒がしい。いくつもの失敗を経ながらも幾人もの犠牲を出しながらも外圧の非難を受けながらも一国で政府はその回収を行い、いつだったか成功した。その結果までに首相はさんにんくらい変わっていた。実務家である最後の首相は実務家でありすぎるが故に国民や海外への説明が足りず、技術の国家独占の誹りを受け最後の原爆を落とされた。東京は死に、つくば市に首都機能は移転する。さらに数年後岡山に動く。それからも様々な不幸があり、やがてひとびとは天皇の祈りに縋る。その勢いに飲まれたかのようにおとーさんの伝記を書いている関係で着目されたあたしは急仕立ての御台で天皇と面会する。技術についての議論をし、あたしは茶色がかった最初の記憶を報告する。もちろんそれは新しい海についてのことだ。

    【投稿者: ちくたく】

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    コメント一覧 

    1. 1.

      茶屋

      >フム、考えたんですけど。過去に滅びた文明があったとかありそう。
      誰かが始めたことを成し遂げるのは難しく。それができたのなら、胸を張りたいものです。


    2. 2.

      なかまくら

      新しい海には、また新しいモノリスが沈んでいて、
      沈んでいるから、海なんてものができるとか・・・
      人間が試されている気持になります。