《若葉視点》
お姉ちゃんを先に行かせて、ハングマンと戦っていた私達。
急ぎ足でお姉ちゃんの所へ向かう。
探し回っていると、見覚えのある姿が見えた。
そしてその奥には…。
「お姉…ちゃん…?」
そう。
お姉ちゃんが、仰向けになって倒れていた。
もしかして…。
「大屋!黒沼!」
私は彼らの名前を呼びかけ、彼らは振り返った。
「あら、松浦の妹と西園寺じゃない。」
「お前らが姉貴を?」
「別に殺していないわ。叫び声を上げて倒れただけよ。」
「…お姉ちゃんに何をしたの?」
大屋と黒沼を睨みながら、私は問いかけた。
「それが知りたかったら、姉の所に行ってみたら?」
そう言われたので、仕方なく近付いてみる。
「…若葉、これ…。」
涼介君が見つけて手に持っていたのは…。
松浦一家の家族写真だった。
「…!」
…そうか。お姉ちゃんはこれを見て倒れたんだ。
そう思った私は、鬼のような形相で大屋達を睨んだ。
「どこでこれを手に入れたの!?
どうしてお姉ちゃんのトラウマを蘇らせたの!?」
お姉ちゃんはずっと、この事で苦しんでいた。
それを大屋が知っていたなんて…。
「あんたも知ってるはずよ?何で私がこれを知っているのか。」
「まさか…、あの時…!」
私はこう思った。
両親を殺したのは…。
今目の前にいる、大屋佐江子だと。
「私ね、あんたと初めて会った時、あんたとあんたの姉の両親の顔を思い浮かんだの。
あんた達は…、松浦家の子供だって。そう思ったのよ。」
「大屋…!!」
私は神楽刀を構えようとした時。
「…若葉、ここは体勢を立て直そう。」
「何で?こいつは、私の両親を殺したんだよ…?
そんな事聞いて!黙っていられる訳ないでしょ!?」
「今の状況を考えろ!姉貴は倒れてんだ!
そんな状況のままで!お前が大屋に挑んだらどうなる!?
お前が死んだら!姉貴も殺されるかもしれないんだぞ!!
それでいいのか!!?」
「っ…!」
…確かに、そうかもしれない。
もしも私が無理に大屋に手を出したら、確実に殺されるに違いない。
そして姉妹共々死んだら、涼介君はどうするか…。
「何なら今回は戦わなくてもいいけど?」
「うっ…。」
「…だからよ…。」
「……。
…わかった…。」
仕方なく私は、今回は戦わない事にした。
「…でも、私は諦めないから。」
「ええ。楽しみにしてるわ。」
大屋はそう告げ、黒沼と一緒に行ってしまった。
《涼介視点》
俺達はあれから、姉貴を巣へ置きに行った。
途中から俺は姉貴の行きつけのコンビニに行った。
下水道へ行き、姉貴の巣に辿り着いた。
「…!涼介君…。」
「…姉貴、今どんな調子だ?」
「まだ気絶したまま。」
あれから姉貴は、目を覚まさないままでいた。
「…なあ、若葉…。」
「ん?」
俺は、どうしても若葉から聞きたい事があった。
「あんたらの方で何があったのか、教えてくれないか?」
そう、姉貴達の過去。
何故大屋は、姉貴達の両親を殺したのか。
それが気になっていた。
若葉は、口を開いた。
「…私達がまだ小さかった頃…。」
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