Chapter5 狂い出す過去③

  • 超短編 1,197文字
  • シリーズ

  • 著者:退会済み
  • 《若葉視点》
     お姉ちゃんを先に行かせて、ハングマンと戦っていた私達。
     急ぎ足でお姉ちゃんの所へ向かう。
     探し回っていると、見覚えのある姿が見えた。
     そしてその奥には…。

     「お姉…ちゃん…?」
     そう。
     お姉ちゃんが、仰向けになって倒れていた。
     もしかして…。

     「大屋!黒沼!」
     私は彼らの名前を呼びかけ、彼らは振り返った。
     「あら、松浦の妹と西園寺じゃない。」
     「お前らが姉貴を?」
     「別に殺していないわ。叫び声を上げて倒れただけよ。」
     「…お姉ちゃんに何をしたの?」
     大屋と黒沼を睨みながら、私は問いかけた。
     「それが知りたかったら、姉の所に行ってみたら?」
     そう言われたので、仕方なく近付いてみる。

     「…若葉、これ…。」
     涼介君が見つけて手に持っていたのは…。

     松浦一家の家族写真だった。
     「…!」
     …そうか。お姉ちゃんはこれを見て倒れたんだ。
     そう思った私は、鬼のような形相で大屋達を睨んだ。
     「どこでこれを手に入れたの!?
     どうしてお姉ちゃんのトラウマを蘇らせたの!?」
     お姉ちゃんはずっと、この事で苦しんでいた。
     それを大屋が知っていたなんて…。
     「あんたも知ってるはずよ?何で私がこれを知っているのか。」
     「まさか…、あの時…!」
     私はこう思った。
     両親を殺したのは…。

     今目の前にいる、大屋佐江子だと。
     「私ね、あんたと初めて会った時、あんたとあんたの姉の両親の顔を思い浮かんだの。
     あんた達は…、松浦家の子供だって。そう思ったのよ。」
     「大屋…!!」
     私は神楽刀を構えようとした時。
     「…若葉、ここは体勢を立て直そう。」
     「何で?こいつは、私の両親を殺したんだよ…?
     そんな事聞いて!黙っていられる訳ないでしょ!?」
     「今の状況を考えろ!姉貴は倒れてんだ!
     そんな状況のままで!お前が大屋に挑んだらどうなる!?
     お前が死んだら!姉貴も殺されるかもしれないんだぞ!!
     それでいいのか!!?」
     「っ…!」
     …確かに、そうかもしれない。
     もしも私が無理に大屋に手を出したら、確実に殺されるに違いない。
     そして姉妹共々死んだら、涼介君はどうするか…。

     「何なら今回は戦わなくてもいいけど?」
     「うっ…。」
     「…だからよ…。」
     「……。

     …わかった…。」
     仕方なく私は、今回は戦わない事にした。
     「…でも、私は諦めないから。」
     「ええ。楽しみにしてるわ。」
     大屋はそう告げ、黒沼と一緒に行ってしまった。



    《涼介視点》
     俺達はあれから、姉貴を巣へ置きに行った。
     途中から俺は姉貴の行きつけのコンビニに行った。


     下水道へ行き、姉貴の巣に辿り着いた。

     「…!涼介君…。」
     「…姉貴、今どんな調子だ?」
     「まだ気絶したまま。」
     あれから姉貴は、目を覚まさないままでいた。

     「…なあ、若葉…。」
     「ん?」
     俺は、どうしても若葉から聞きたい事があった。
     「あんたらの方で何があったのか、教えてくれないか?」
     そう、姉貴達の過去。
     何故大屋は、姉貴達の両親を殺したのか。
     それが気になっていた。

     若葉は、口を開いた。



     「…私達がまだ小さかった頃…。」

    【投稿者: 2: アズール021】

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