Chapter5 狂い出す過去②

  • 超短編 1,685文字
  • シリーズ

  • 著者:退会済み
  •  「…昨日と同じ感じだね。」
     昨日と変わらず、大屋軍が次々と罪のない人々を殺していく。
     人を殺して、何が楽しいの?
     「オラァ、大屋軍!!」
     涼介が前に出て、呼び叫んだ。
     「松浦と西園寺がいるぞ!」
     「よし、ならカタギは後だ!奴らをぶちのめすぞ!」
     「…どうやら、私の存在に気付いたみたいだね。」
     「何があっても前進あるのみ。行くよ!!」

     私は斬裂刀を構え、戦闘体勢に入った。



     「松浦がいるぞ!」
     「覚悟しろ!」
     4人いた大屋軍の手下を倒すと、次々と複数の手下が集まっていく。
     「…まだまだいるな。こりゃあ賑やかになりそうだ!」
     「そんな事言ってないで、早く黙らせるよ!」



     「…これでここら辺の奴らはいないか?」
     「かもね。よし、他を見に行…。

     …!」
     私は奥で誰かいる事に気付いた。

     「…やば。」
     「大屋!」
     そう、大屋だ。
     大屋は私に気付かれると、一目散に逃げていった。
     「待て!」
     「え?ちょ、待てよ!姉貴!」
     逃げる大屋を颯爽と追いかける。
     さっさとこの件を終わらせてやる。


     大屋は裏路地へ入っていった。
     「待て!逃げるな!!」
     大屋は近くの建物へ入っていった。
     私もそこに入ろうと走るが、若葉と涼介は何故か立ち止まった。
     「若葉、涼介、どうしたの?早く!」
     「お姉ちゃん…、私達はそれ所じゃないよ。」
     「…え?」
     若葉がそう言い放つと、奥の方へ視線を向ける。


     「グワァッ…!」
     「…!嘘でしょ…?」
     そう、そこには私達が以前遭遇した…。

     ハングマンがいた。しかも前1人に後ろ1人…合計で2人。
     「このまま放っておけば外が危ねえ。姉貴は先行けや。」
     「でも…!」
     「姉貴の第一の狙いは大屋だろ?いいから行けって!」
     「…わかった。そっちは任せた!」
     涼介の言う通りにし、私は建物の中へ足を踏み入れた。



     「大屋!」
     建物の中では、大屋が非常階段へ向かう所だった。
     すると大屋はピュイッと指笛を吹き、誰かを呼び出した。
     相手は大屋軍手下…。


     …ではなかった。


    ガシャアッ!!
     「!?」
     何かが壁を突き破って出てきた。
     「グワァッ…!」
     ここにも、ハングマンが潜んでいた。
     「あんたの遊び相手はそのハングマンよ!精々楽しんでなさい!」
     「グワァッ…!」
     大屋はそう言い捨て、ドアを開けて行ってしまった。
     「…やるしかないみたいだね。」
     「グワァッ…!」
     ハングマンの武器は、以前と同じハンマーだ。
     だがしかし、だからと言って以前と同じ事をするとは限らない。
     警戒しないと、こっちがやられる一方だ。
     そう思った私は、鬼薙刀を構えた。



     「グワァッ…!ア"ァ"ッ…!」
     「はぁ…、はぁ…、しばらく寝ときな…。」
     やはりハングマンが相手だと、体力をいつもより使う。
     けど、何とか倒す事はできた。
     「…待ってろ、大屋…。」
     足がふらつく中、非常階段へと向かった。



     「…まだまだいるみたいだね。」
     次々と現れる大屋軍の手下。
     大屋は一体、どれだけの手下を率いっているの?
     そう思うくらい数が多い。
     私は斬裂刀を構える。
     状況に応じて刀を変え構えるのも楽ではない。



     「大屋はどこ…?」
     その後あちこち走り回ったが、大屋の姿が見当たらない。
     時間かけすぎて、その隙に逃げられたのだろうか。
     私はそう思ってたが…。


     「どこ歩いてるの?松浦。」
     「…!」
     私の真後ろから、声が聞こえた。

     振り返るとそこには、大屋がいた。
     もう1人は…、黒沼だ。
     「今回は戦うのではなくて、あんたに見せたいものがあるのよ。」
     「…?」
     「黒沼。」
     「おう。」
     黒沼は私に向けて何かを飛ばした。
     床に置いてあるのは、1枚の紙。
     私はそれを手にし、裏返した。
     それは…。


     「…!!」

     そう、この紙は写真だった。


     それには、見覚えのある背景と人物が写っていた。


     「それに写ってる写真の奴、誰だかわかるか?」
     「……。」
     「黙ってるって事は、わかるんだよな?



     お前の家族だよ。」
     「……。


     「ぁ…ぁあ…。」
     「ん?」



     「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


     私は叫び声を上げた後、目の前が真っ暗になり、ゆっくりと後ろに倒れた。

     まるで、臨終の時を迎えるようにーーー。

    【投稿者: 2: アズール021】

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