Chapter5 狂い出す過去①

  • 超短編 1,257文字
  • シリーズ

  • 著者:退会済み
  •  「…ねえ、黒沼?」
     「あー?」
     現在、アジト。
     私は今、大屋軍幹部・黒沼と2人きり。
     そんな中私は、黒沼にやってほしい事がある。
     「ちょっとお願いしてもいいかしら?」
     「何だよ?急に。」
     「これなんだけどぉ。」
     私は、1枚の紙を黒沼に見せた。
     それは私が以前会った人物。
     「それを松浦に見せてほしいの。」
     「これって…、松浦の…?」
     「ええ。そうよ。黒沼も死体は見た事あるでしょ?」
     「まあ、ない事はねえが…。」
     それは私が、ある場所へ襲撃した時の事。
     確か…、8年前だったかしら?
     あの頃の男女の叫び声…、まさに気持ちいいものだったわ。
     「嫌なら私がやるけど?」
     「いや、主将の大屋から頼まれたのなら、断る訳にゃいかねえ。引き受けるよ。」
     「そう?じゃあ終わったらたーっぷり可愛がろうかしら?」
     「…おい、俺を手下達みてえな扱いすんじゃねえ。」
     あらあら、照れちゃって。可愛い♪

     …さて、どんな反応するかしらね?
     目の前で殺されたのだから、相当トラウマになってるでしょうね。
     楽しみだわぁ…♪うふふ♪



    《奈那美視点》
     朝が迎えた。
     昨日はかなり疲れたから、ぐっすりと眠れた気がする。
     時刻は午前9時。
     私は起き上がろうとするが、若葉が抱き着いてて起き上がれない。
     「……。」
     だがしかし、そんな若葉を起こす訳にもいかなかった。
     昨日はお互い疲れたからね…。


     「あぁぁぁあねきいぃぃぃぃぃいっ!!!」
     「あぅ!?!?!?」
     「んぅっ…!?」
     私は突然の騒音で驚いた。
     その騒音で、若葉も目を覚ました。


     「もう!人が気持ち良く寝てたのに!」
     「悪かったって!それより、朗報だ。」
     「ん?何?」
     騒音の主は涼介だった。
     結構険しい顔して巣に入ってきたけど…。
     「姉貴達んとこに行く時、劇場前通りでこれを見たんだ。」
     涼介はポケットからスマホを取り出し、画面を見せた。
     画面中央に再生ボタンがあるという事は、動画かな?
     涼介はその動画を再生させた。



     『歌舞伎町にいる皆さん、ご機嫌よう。』
     動画には、劇場前通りにあるモニターの中に、見覚えのある人物が映り込んでいた。
     それは今の事件の黒幕となっている…。


     大屋佐江子だった。
     『今から私からの報告があります。それは…。


     この街を…、真っ赤に染める事!』
     「…!?」
     その言葉で、私の勘が走った。
     大屋の目的は…。


     人々を殺し、歌舞伎町を支配する事だ。

     「あれ?ここで動画止まったけど…。」
     「ああ。それなんだけどよ…。
     実はこの時、突然大屋軍の手下が襲い掛かって来やがった。しかも2人。
     全然どうって事なかったけどよ…。その時いつの間にか、周りは死体で囲まれたんだ…。」
     「そんな…。」
     「目に留まった隙に襲う…。大屋ならその作戦は立てかねないね。」
     「ああ。正直、俺もそう思った。」
     このままだと、本当に歌舞伎町が危険地帯となってしまう。
     これ以上大事になる前に、大屋軍を黙らせなければならない。
     「…何とかするしかないね。」
     「ああ。俺達も黙ってられねえ。」
     「3人で止めよう。」
     多分これが、大屋軍との最後の戦いとなるだろう。
     しかしそれは仮定であり、最後とは限らない事も有り得る。

     大屋…、覚悟しとけよ。

    【投稿者: 2: アズール021】

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