「うぅ…!」
大屋を倒し、私は若葉の所へと歩み寄る。
大屋はショットガンだけでなく、マシンガンも用意していたなんて…。
ちょっと甘く見てた。ショットガンを弾いて武器を無くしたと思ったら、これだったもん。
まあそんな事はさておき、とにかく若葉を…。
「…ふふふっ…。」
「…!」
私の真後ろで、大屋は倒れながら笑い出した。
「…これで助けられると思ってるの?」
大屋は何か持ってる…。
ポチッ
グイィッ!
「!?かはっ……!!」
「…!若葉!!」
大屋は何かスイッチを押したみたいだ。
そのスイッチは、天井から首を吊るための縄を作動するための機能がついていた。
その縄は若葉の首に襲い掛かり、勢いよく締め付ける。
「さあ…、死ね…。死ね…!死ねえぇ!!アハハハハハ!!!」
「くそ!大屋!!」
私は大屋に斬り掛かろうとした。
その時だった。
「この野郎おぉぉぉぉぉおっ!!」
バキッ!
「ぶっ…!?」
誰かが大屋に追撃をした。
それは…。
「涼介!」
そう、涼介だった。
「姉貴!早く縄を!」
「あ…、うん!」
涼介にそう言われ、私は若葉の首を絞めている縄を斬った。
「若葉!大丈夫!?」
「ゲホッ…!ゲホッ…!はぁ…、はぁ…。」
無事みたい。間に合って良かった…。
もし涼介がいなかったら、若葉はこのまま死んでいたのかも…。
「大屋、ここまでして若葉を殺してえってか?
残念だったな。あんたのお望みはここで終わりだ。」
「ふん…、いい気になってんじゃないわよ…。」
大屋は立ち上がり、窓に向かって走り出した。
「今回は引き分けで済ませてやるわ!じゃあね!」
大屋は窓を破り、外に出た。
でも、戦いは終わってない。
今回はまた逃げられたけど、次で終わらせる。
「若葉、大丈夫か?」
「はぁ…、はぁ…。何とか…ね…。」
とにかく、若葉は無事で良かった。
でも私は、不満を持ったままでいた。
「…顔上げて。若葉。」
「…?」
バチンッ!
「…!姉貴…!?」
私は、若葉の頬を思いきり叩いた。
「いった…。」
「……。」
「お姉…ちゃん…?」
今の私は、若葉を睨んでいる。
何故なら、若葉は私達のいない所で、勝手に出歩いたからだ。
「この馬鹿!!」
「…!」ビクッ
「1人で勝手に外に出て!本当に心配したんだから!!」
「……。」
今の若葉は、申し訳ないように涙を浮かべている。
姉を心配させて、反省している顔だ。
「…ごめんなさい…。」
「……。」
「…姉貴。」
「…何。」
「若葉も反省してんだ。許してやってくれ。」
「……。
…外に出るよ。」
私は涼介の言葉を聞き流すように、ビルの出口まで颯爽と歩いた。
《若葉視点》
「お姉ちゃん、もう疲れたから、さっさと寝るよ。」
「……。」
お姉ちゃん、私の勝手な行動のせいで、まだ怒ってるだろうな…。
巣に戻るまで、何も話せなかった。
気まずかった。
お姉ちゃんは絶対、私の事、嫌いになってるよ…。
「…お姉ちゃん。」
「…何?」
「…まだ怒ってる…?」
「…怒ってるよ。」
「じゃあ…、私の事…、嫌いになっちゃった…?」
「……。」
お姉ちゃんは何も答えず、黙ってしまった。
しばらく間を空けると、お姉ちゃんの口が開く…。
「…そんな事、誰が言ったっけ?」
「…え?」
私はお姉ちゃんの言葉に、頭上にはてなを浮かばせた。
「確かにお姉ちゃんは怒ってるけど…、
…若葉の事は嫌いになったりしないよ。」
「…!」
「まさか、そんな事考えてたの?」
「え、いや…。」
「本当に嫌いになってたら、若葉を巣から追い出したり、松浦軍のメンバーを辞めさせてる。
でも生き別れる前に長い間妹を可愛がってたお姉ちゃんが、今更そんな事すると思う?」
「……。」
お姉ちゃんの言葉に、私は黙ってしまう。
喋ろうとしても、声が出ない。
「…お姉ちゃんは、若葉の事が好きだから。
大好きだから、絶対に手放したりしない。
一度は別れたけど…、でも今となってはこんなに可愛い妹を手放す姉なんて…。
…考えたくもないよ。」
お姉ちゃんの一つ一つの言葉が心に染みて、涙が出てくる。
頬を伝って、流れ落ちるのがわかる。
「ごめんなさい…、お姉ちゃん…。
…ごめんなさい…。」
「……。」
「私は…、若葉は…、バカだったよ…。
お姉ちゃんの気持ちも知らないで勝手に…!」
「……。
…ほら、泣かないの。
若葉ももうすぐ一人前の女の子になるんだから。」
涙の我慢ができずに、ぼろぼろと流れる。
「お姉ちゃん…!うぅっ…!」
《奈那美視点》
今の若葉は、涙が沢山流れている。
私は、昔から泣き虫だ。
だから、涙腺も年々脆くなっていると思う。
「若葉…。」
「…!」
「ほら、今日は一緒に寝よ?」
「…お姉ちゃん…!」
私は大きく腕を広げると、若葉は飛び付いた。
「お姉ちゃん…!うぅっ…!うわあぁぁぁあん!!」
若葉の泣き叫ぶ声が、巣の中を響き渡る。
若葉の背中を擦りながら、だんだんと意識が遠のいていくのを待つのだったーーー。
~Chapter4 血戦 END~
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